つねに時代の後をゆく院長が
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くつぬぎ手技治療院 |
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4. 体操を自分のものに
するために。
コリとり体操は魔法ではありませんから、この体操をしたからといって、疲れ知らずのスーパーマンになるわけではありません。けれども体操を続けることで、疲労解消もさることながら、疲れにくく、疲れても回復がスムーズな身体をつくることはできます。この体操は、地味ですが確かな体操なのです。
ここでは、この地味な体操の良さを実感するため、皆さんにぜひ覚えておいていただきたいことをお話します。
早く治したい!! 気持ちは分かりますが…
痛みやしびれというのは、とても不快でイライラするものです。一日も早く、この症状とサヨナラしたいと誰でも思います。なかにはそう思うあまり、手っとり早く治そうとあせってしまう方がいらっしゃいます。治療院でせっかく治療を受けたのに、しばらくするとぶり返してしまって、ガッカリしたという経験があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。けれども時間がかかって疲労がたまったものほど、回復するためにも時間が必要となります。1回の治療でスッキリもと通りよくなって、それっきりぶり返さないということはなかなかありません。
体操にも同じことがいえます。少しやってみて「その時は良かったけど、結局すぐもとに戻ってしまうから続かない」では、とてももったいないことです。
たまった疲れは、しつこい油汚れと同じです。油汚れは、早いうちならチョイチョイとふき取るだけできれいになりますが、時間が経てばこびりついてしまい、ゴシゴシと手間隙かけないとなかなか落ちなくなってしまいます。疲労も慢性的なコリになると、組織の性質はスジ張ったように変化してしまいます(これを線維化といいます)。こうなると、もとの健康的な組織に戻るにはどうしても手間隙かかります。さらに本当の原因は日常生活の中にあることが多く、身体は治そうとしているのに、生活を送る中で負担をかけてしまってなかなか治るチャンスがつかめず、症状を長引かせてしまうこともあります。
また、経験的に慢性症状は、症状の出る場所がどんどん変わりながら回復していくということがよくあり、あっちこっちに移動したあげく、再びもとの位置に戻ることもあります。けれどもその時は以前より症状が弱くなっており、さらに症状が移っていくうちに全体的に軽くなってきて、気がついたら忘れていたという治り方をする人もいらっしゃいます。このように慢性的な症状は、治っていくにも上り調子ではなく、三歩進んで二歩下がることを繰り返して良くなる方が多いように感じます。
ですから、慢性的なものほど手っとり早く修理する感覚ではなく、体質改善をするようなつもりで取り組むことが大切になってきます。早く治そうとしてあせってイライラしてしまうのは、身体にとってはもちろん、心の健康にもマイナスになってしまいます。
何を基準に良くなっていると決めればよいのか?
治療を受ける場合もそうですが、体操をする場合も何を基準に良くなっていると決めればよいのかがわからないと、症状が出た・出ないだけで判断してしまい、気が滅入ってしまうことがあるかもしれません。
そこで私が患者さんにお話ししている、症状が良くなって来ているかどうか、痛みを目安としてみる方法を紹介したいと思います。
症状が回復しているかどうかの目安
痛みの程度が少なくなってきた。
痛みがないのを「0」、最高の痛みを「10」だとしたら、今日はどれくらいか?数字に置き換えることで、自分の中で目安ができますし、数字が減れば励みにもになります。
痛みの範囲が狭くなってきた、または、痛みの場ところがはっきりしてきた。
痛みの範囲が狭くなったり、場所がはっきりしたりすることで、反対に痛みの感覚を強く持ってしまう方も中にはいらっしゃいますが心配はいりません。ただし、部分的に熱を持って腫れているようであれば、冷やして安静にして下さい。
痛みが出るまでの時間が長くなってきた。
症状が落ち着いてから、再び出て来るまでの時間が長くなっているのは、それだけ負担に耐えられる身体になってきたということがいえます。
痛みが落ち着くまでの時間が早くなってきた。
出ている症状が落ち着くまでの時間が早くなっているのは、組織の柔軟性が高まり、血液の循環が良くなっているために、疲れてもスムーズに回復できる状態になっているためといえます。
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以上のような変化が、起こり始めたら回復して来ていると考えてよいでしょう。
当然のことですが身体は自然の産物です。治療や体操の目的は、自然と身体に備わっている、治る力を発揮させるための環境づくりをしてあげるということです。それによってコリのたまったところも、元気な組織に生まれ変わらせることができます。
そういった意味では治療や体操というのは、きれいな花を咲かせる肥えた土をつくるために、土を耕しているようなものですね。コリのたまった組織は、荒れた堅い土と同じものなのかもしれません。慢性的な症状でお悩みの方は、花を育てるつもりで体操を続け、身体のケアをされてはいかがでしょうか。
歯磨きと同じになればしめたもの
体操を行う上でいちばん大変なことは、日記と同じでそれを習慣にすることです。
私も患者さんとかかわる中で、これには頭を悩ませます。「分かっちゃいるけど続かない」のは私自身にもよくあることですし、つらいうちは続けていても、症状が良くなってしまえば「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」でそれっきりというのもよくあることで、なかなか習慣にするのは大変です。
私も悩んだ挙句にアドバイスしているのは、何かのついでに体操をするということです。私もこうしてパソコンを打っていますが、文章を考えているときに、ついでに頸や肩の体操をしています。そして、風呂上りでボーッとしているついで腰の体操をしていますし、歯を磨いている時には、ついでにふくらはぎの体操をしています。また、テレビのCM中など、ちょっとしたすき間の時間も有効に使うようにしています。
歯磨きといえば、体操を行うことはそれと同じだといえるでしょう。歯が痛くなった時、歯医者さんに行けば専門的な治療を受けることが出来ます。けれども歯医者さんに行ったからといって、もう磨かなくてもよいということにはなりませんよね。きちんと歯磨きしていれば、長い間歯の健康を保つことができて、痛い思いをして歯医者さんのお世話になることもないはずです。
体操も、歯磨きのような習慣になればしめたものですね。
続けていると起こる、イイこと
このようにして回復している目安を知り、体操を習慣にすることができれば、コリとり体操は私たちの健康を保つ上で、とても便利なツールになります。そして体操を続けていくうちに、ちょっとイイことが起こります。
それは、自分の身体のことがよく分かるようになるということです。えっ、なんだそんなことかですって!!でも、分かっているようで分かっていないのが、自分の身体なのではないでしょうか?
コリとり体操は全体的に動かす体操ではなく、コっているポイントを探して、そこにピントを合わせていく体操です。そのために、自分でも気づかなかった身体のコリを自覚することができます。余裕があれば、なぜそこが凝っているのか?自分の生活を観察していくことで、自分のクセに気づくことができます。クセを知り、それに対するケアを体操で行っていけば、いつか起こるかもしれない身体のトラブルも未然に予防することができます。
例えば私は今、脚を組みながらパソコンを打っています。よく脚を組むと骨盤がねじれて、それが原因で腰痛になるといいますよね。あれは正確にいうと、長時間脚を組み続けることで特定の筋肉が縮んでしまい、それが骨盤を引っ張るために見かけ上ねじれたようになってバランスを崩し、結果的に腰痛になるといった順序で起こります。けれども私の場合は体操をすることで、脚を組んだ時には内股の筋肉が縮むことが分かっています。これは、治療を仕事としているから知識として知っているというのではなく、実際に体操をすることで実感として分かったことですよ。
そこで時々内股を伸ばす体操をして、バランスをとることで腰痛の予防ができています。たまにサボって、体操をせずに長時間脚を組んだまま座っていると、腰の辺りがムズムズしてきます。このサインが出たら「いかんいかん」と反省して、体操をすると腰の違和感はなくなってきます。こうした経験から、私の場合は内股の柔軟性を保つことで、脚を組んでいても自分なりに腰痛予防ができるので安心です。もし、内股の柔軟性だけで追いつかなければ、コリを探す方法で身体を動かし、見つけたコリをほぐす体操をしていけば対処できると思っています。
身体のために「脚を組んではいけない」ということを始め、あれをしてはいけない、これをしてはいけないということが情報として飛び回っています。確かにそれらは大事なことでしょうし、慢性的な症状を持っている方には患部にかかる負担を減らし、治しやすくするために必要なことでもあるでしょう。だからといって、あれもダメ、これもダメでは息がつまりますし、私自身は考え事をする時に脚を組んでいたほうが、考えがまとまりやすいというクセ?を持っているので、「はいそうですか」と簡単に止めるわけにはいきません。これって普通の感覚ではないでしょうか?
大切なことは偏った使い方をした時に、それを補う方法を知っていて、きちんと対処できるかということです。治療を通して専門家に診てもらうという方法もありますが、コリとり体操は、自分でそれが出来るようになる(はずの?)体操です。
他の体操ともコラボして?
コリとり体操が、ポイントを絞って狙ったところを動かすのに対して、一般的な体操は、全体的に動かしていくことを目的とするものが多くみられます。ポイントに対して、ラインを意識するという感じでしょうか。
どちらのほうが良いというわけではなく特徴の違いなので、皆さんには上手く使い分けて頂ればと思います。
局所のコリをほぐしたい時、全体的に動かすことでコリがなくなることもよくあります。例えば「歩く」という全身運動をすることで、肩こりが楽になるといったことがこれにあたります。
けれどもしつこいコリは、そこを狙って刺激しないとなかなか良くなりません(だから私たちのような仕事があるわけですが)。そんな時は、コリとり体操が役に立ちます。
例えばヨガをされている方がポーズをとった時、特に伸びにくいところを感じたとします。そこをコリとり体操で刺激して、もう一度ポーズをとって具合をみる、という使い方などは良いのではないでしょうか。また、スポーツ選手には、全身の協調性というものが強く求められると共に、競技ごとに負担の掛かるところが異なっています。コリとり体操で負担の掛かるところをケアして、全身の体操をするというのも良い方法でしょう。
調味料でも、塩だけよりもコショウもあったほうが料理の幅が広がります。皆さんが慣れ親しんでいる体操に、コリとり体操の方法を加えてレパートリーを広げれば、より体操の効果が上がるはずです。
「体操を行う順序」へ 「体操のポイントチェック」へ
1.「コリとり体操」って何? 2.体操のポイント 3.どの体操を行えばよいのか? 4.体操を自分のものにするために
5.体操のポイントチェック 6.≪首・肩≫ 7. ≪ 上腕・前腕 ≫ 8.≪背中・腰・おなか・おしり≫ 9.≪太もも・足≫
10.コリとり体操に込めた願い 「技のコツ」「まみむメモ」メニュー
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