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くつぬぎ手技治療院 |
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10.コリとり体操に
込めた願い
コリとり体操は実用性を重視した体操です。体操をすることで、精神と身体の調和を図るなどそんな大それたことは考えていません。もっぱら自分でも気づかないコリを見つけてそれをほぐし、そこに疲れをためないように工夫をしていく体操ですので、歯磨き感覚で気楽に行っていただければと思っています。
ただコリとり体操には、治療家としての私の願いも込めています。あくまで個人的な思いですが、よろしければお読み下さい。
健康感を高めるために
これまで体操のポイントをお話しするときには、何度も「自分の感覚で決めてください」と繰り返しました。コリを探す時も、刺激の強さも、体操をする長さも。そのようにしたのは、皆さんに自分の身体を知り、その対処法を知り、それによる身体の変化を実感することで、自分の力で体のメンテナンスができるという自信を持っていただきたいからです。
これは私の治療の目標にもなっていますが、その考えはイスラエルの医療社会学者A . アントノフスキーさんの「健康生成論」がベースになっています。
彼は第2次世界大戦中、ナチスのユダヤ人強制収容所へ収容されていた経験がある人とない人に、それぞれ自分の健康をどのように捉えているのか調査を行いました(その調査は更年期を迎えた女性が対象でした)。すると収容経験のある人のほうが、経験のない人より健康だと感じている人は少ないという結果が出ました。これは当たり前の結果といえるかもしれませんが、普通ならここで収容経験のある人の心の傷に注目していくでしょう。けれども彼のユニークな点は、強制収容所という全員が異常になっても不思議ではないところにいたのに、数は少ないとはいえ健康だと思えている人がいるのはなぜか、ということを考えたところでした。
その後、調査やインタビューを重ねて研究を続けていくうちに、彼は過酷な環境にいた経験を持っていても、自分を健康だと思えている人には3つの心理的な特徴があると発表しました。1つは、自分のいる環境に起こっていることを理解できるという「把握可能感」、2つめは、自分のいる環境で起こっていることにきちんと対処できるという「処理可能感」、3つめは、自分の経験していることに意味を見出す「有意味感」です。その後、各地で様々な人を対象に研究が行われ、この仮説を支持する結果が発表されました。
私は治療家として、最終的には患者さんの健康感を高める仕事をしていきたいと思っています。そのためにコリとり体操では、自分の感覚を大切にして、何をしたらどのように変化したのか実感することを重視しています。体操によって自分の身体の状態を把握すると共に、気づきにくい局所の疲労を処理し、その疲労が生まれるのはどのような理由があるのか、自分なりに生活を振り返る。そして、可能なら負担を掛けないように工夫し、どうしても負担が掛かってしまうようなら、そこを念入りに体操する習慣をつけてバランスをとるようにする。このようにしていくことで、身体に余分な疲れがたまらないよう自分でコントロールしているという自信が生まれれば、健康感をより高めていくことができるのではないかと考えています。
現代の健康・美容・癒しブームの波に乗って、様々な健康法や治療法が入れ替わり立ち代わりに紹介されています。自分の健康のためにいろいろ試してみるのは大切ですが、それだけでは次々と流される情報に振り回されることになります。そうならないために、まず腰を落ち着けて自分の身体と向き合い、どの組織が疲労して硬くなり、どこは大丈夫か、自分なりに理解する所から始めてみてはいかがでしょうか?それが分かれば、興味を持った方法を試してみても「なんとなく良くなった」ではなく、「いつも硬くなりやすい所が柔らかくなって、調子もいい。この方法は自分に合っているみたい」というように、自分の中で基準がはっきりするはずです。そうすることで、入ってきた情報にも簡単に流されなくなり、主体性を持って自分に合った方法を見つけることができるのではないでしょうか。コリとり体操は、それ自体が健康に役立つものですが、そのような、自分なりの基準作りにもお役に立つことでしょう。
体操のコツをやがては常識に
私は、この業界で学び始めて今年で13年になります。その間、様々な手技療法を学び、臨床で用いてきました。治療法には様々なものがあり、学び始めの頃はそれらが混ぜこぜになって混乱しましたが、やがてその効かせ方には共通のコツがあると感じるようになりました。そして体の手入れも兼ねて、自分の身体を使って治療法の練習をするなかで、そのコツを体操として用いれば、独りでもより効果的な体操ができると考え、今回それをまとめる試みを行いました。
通常の体操は全体的に動かすことが多いのですが、この体操は部分的なコリにピントを絞って体操をするので「コリとり体操」と名づけました。様々な治療法のエッセンスを集めて、シンプルなコツとしてまとめたつもりですが、まだまだ精錬していく必要があります。これからさらに、本業である手技療法の技術も磨きながら、工夫を重ねてより身近で効果的な方法に育てていきたいと思っています。
本当に優れたものは常識になると、私は思っています。そのためにも様々な健康法や治療法が持っている、本当に大切な共通点をまとめていくことで、やがてそれらが常識となって私たちの生活に溶け込み、誰にでも役に立つものになっていけばと願っています。
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1.「コリとり体操」って何? 2.体操のポイント 3.どの体操を行えばよいのか? 4.体操を自分のものにするために
5.体操のポイントチェック 6.≪首・肩≫ 7. ≪ 上腕・前腕 ≫ 8.≪背中・腰・おなか・おしり≫ 9.≪太もも・足≫
10.コリとり体操に込めた願い 「技のコツ」「まみむメモ」メニュー
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